イカの神経ヒトの脳みそ[新潮新書]

動物の神経を観測することから始まり、ヒトの脳科学へ進む歴史がまとめられた一冊。
著者特有の比喩に癖がある(ジョークなのか、業界用語なのかわからん部分がある)ところが、気になった。
覚醒剤や麻薬などから研究が始まり、脳内物質を発見する過程は門外漢には興味深く読めた。この分野の専門家ではないヒトにとってはこれらは「禁止薬物」なので、タブーみたいなもんで、普通に生活してる人には正視する機会すら、ない。
また、ロボトミーというタブーにも本書は斬り込んでいる。創始者の技術や理論を学ばないまま曲解され、乱用された末に葬られた経緯を淡々と綴っている。前述の薬物についてもそうだが「ダメでやってはいけない」ことが前提になっていることに対し、そもそもは何をやろうとして、その結果どういうことが起きたために、こうなった、という経緯の説明が横道にそれ過ぎか?と思うぐらいに丁寧に説明がされており、やはり、興味深い。
この分野の専門のヒトには物足りない内容だと思うが、研究初期のモチベーションをここまで解説してる本書は貴重な存在だと思う。
個人的にはタイトルに「イカ」とあるので松本元の話題を期待して買いました。が、これについては、期待はずれでした。触れられてない。。。見ての通り、殆どが脳の話です。イカも一応でますが。