怨霊になった天皇

怨霊になった天皇
子供の頃、実家が近所だったので毎年正月になると金比羅山に初詣に上がっていた。(上がらされていた)
金比羅山に祀られているのは「大物主の尊(おおものぬしのみこと)」と「すとくいん」、これは子供の頃に誰かに聞いて知っていた。ただ、それが日本史の教科書に出てくる「保元の乱流罪になった崇徳上皇」だ、と理解できたのは遥かに大人になってからだ。恐るべし詰め込み教育。近所の史跡すら理解していなかったとは情けない。
本書はその崇徳院にスポットライトを当てている。日本史の教科書よりも遥かに面白い。し、歴史の教科書には載せられないような話も載っている。怨霊として扱われた天皇という、タブー扱いされそうなトピックで「怨霊は生き残った人々が作るのである」という立場で歴史を紐解いてゆく。残された人がいかに恐れ、自分たちが生み出した怨霊と立ち向かったか、そしてそれが昭和になっても続いていることに本当に驚きを感じる。こういう政治史のサイドストーリーが教科書に乗らないのも理解できたが。歴史の教科書を読んでる頃にこういう本に出会っていればな、と思った。それぐらいドラマチックで面白い本だった。



帰宅したら、玄関にコウモリがいた。小さな顔でこちらをじっとみてる。家主を前になんて偉そうなやつだ。