朝青龍の引退について

ただただ、残念。事実がどうであれ、酔って騒ぎを起こして示談するアスリートは処分せざるを得ないというのは納得するしかない、残念なのは、来場所の優勝者よりも、もしかしたら朝青龍の方が強いかも知れないことだ。相撲は最強を決める場ではなく「神事」ということになっているから、別に場所の優勝者が最強である必要なんてないんだろうが、見てる側がそれで満足出来るか、というとそうではない。強すぎる外国人力士は、不祥事ネタで今後も引退勧告出していくつもりなんだろうか、困った前例を作ったもんだと思う。(拳銃密輸事件なんて起こした横綱はお咎めなしだったし、だからこそ、元気に今もNHKでケタ違いに面白い解説してくれてるぜ?)


あの仕切りでの(殴りかかるんじゃないかと見てる方がヒヤヒヤするぐらいの気合の入った)にらみ合い、左手首を返すだけでの塩を撒く姿、制限時間一杯になったあとの腹太鼓(そして実況板での「腹太鼓キターーーー!」のお約束)、苦しい展開から勝ってしまう圧倒的な実力(そして実況板での「つぇぇぇーーー」のお約束)朝青龍のみが放つことのできる強烈なオーラが来場所は土俵から消えてしまう。格式がどうのこうの言われて久しいが、土俵上の一貫した振る舞いは期待を裏切らない見事なものだったと思っている。それだけに土俵の外では常に難癖付けられていたのが、大変に残念だったと思う。ヒールの去り方としては満点に近い出来だが、もっと見たかった。


今思えば、もう明らかに全盛期は過ぎていたと思うが、それでも優勝できる実力はある、むしろ全盛期が凄すぎたというのが災いしたところもあるとおもう。本当に文句のつけようのない強さだった、強さについて口をはさむ余地はなかった(昨年白鵬が年間勝利数の記録を作ったが、その白鵬との優勝決定戦では負けてないのだから、白鵬と比べて弱いと考えるのは早計だろう)永年、一人で横綱だったという状況から、天狗になってしまった部分もあるだろうし、(弱い横綱と叩きようがない強さだから)マスコミは品格だとか揚げ足取りに走らざるを得なくなるし、たくさんのアンチも生んだんだと思う。個人的には少なくとも貴乃花よりは立派な横綱だった(貴乃花だって土俵態度はあまり誉められるものではなかった)と思っているんだが、この辺がマスコミの持ち上げ方の差なんだろうか。