Numberの「ニッポンの名将特集」が大変面白い

仰木彬特集が泣ける。

オリックス時代の関係者5人(星野・野田・田口・平井・井箟重慶オーナー)のインタビューで構成されている。
仰木彬がデータを集めていた「理詰め」の男であったところ、三原脩のコピーのようであったとの談話、西本監督のコーチだった頃の話。1995年の伝説に残るオリックスの優勝。どのエピソードも素晴らしい。


他にもたくさんシビれるような言葉、エピソードがあるのでメモる

広岡達朗の言葉
「人を生かすには責任を与えることだ。ローテーションを見て痛感した」
「ぼくは人から好かれるとか嫌われるとかを意識したことはないね」
「今、監督やったら?負ける気はしないね」

御年80にしてこの強気発言。すげぇ。

森祇晶の言葉
「任せることで人は動く」
「優勝争いをしていなかったチームで育ったコーチは『そこまで言わなくても・・・』という言葉を平気で口にするんですよ。V9のころは皆勝ちたい一心でしたから、失敗した選手が戻ってくると「何やってんだ!」とベンチでよく喧嘩になったものです。
連打は”夢”のようなもので、そんな夢がみたくてバッターに打たせ、結果としてダブルプレーに討ち取られたとき「仕方がない」と言っているのは、勝てないチームです。
僕は西武の監督時代巨人出身のコーチに『巨人の時はこうだった、とは一切言うな』と命じていました。そういう言い方は若い選手たちから最も反感を買うからです。

一つ一つが、深い。短い言葉に意味を込めるのがうまい。プログラマーやっても大物になったのではないか。

藤田元司の言葉
部下のピンチは見過ごさない。そして理不尽な相手には、体を張って守ってくれる。当時担当記者としてその場を目撃した瞬間に「こんな上司の下で働きたい」と思わず思ったものだ。
「選手とは本当の気持で接しなければ、決していざという時に働いてくれない」

意気に感じる、という言葉が似合う人

古葉竹識の言葉
130試合のうち、プロである以上5割というラインは、選手の獲り方、育て方さえ間違えなければどのチームだってクリアできると思っています。5割とはすなわち65勝65敗。ここからミスを無くしていって5つ勝てば70勝60敗。この成績だと、ひょっとすれば優勝も狙える。そこからさらに5つ勝ち越して75勝55敗なら、もう優勝圏内です。
「監督がそこまでやる必要貼るのか?」という声もありました。それでも私は全く揺らぎませんでした。このチームに何が足りないのか、最もよく理解しているのは現場の長たる私です。そしてチームの結果に対し、最も重い責任を追うのも、監督である私なのです。

今は東京国際大学野球部監督として「現役」の監督だという。もう一回広島の監督やってあげれば・・と思うような内容。

蔦文也

教え子の言葉

この点差じゃ厳しいかなというときは、選手の判断で勝手に送りバントをしたりしてました。それについて先生は何もいいません。それで翌日の新聞には『勝負どころを見極めた蔦采配』とでる(笑)でも、そうやって選手たちが自分で考えてプレーをするようになった。みんな池田が好きで、先生が好きで入ってきてるわけですからね。先生に恥をかかせるわけにはいかんって。サインミスがあっても、多分間違えてるなって、選手同士でアイコンタクトを取って、そのミスをカバーできるよう先の先を読んでプレーをしていた。

意図せず(?)選手の考える力を引き出している点が素晴らしい。
池田と蔦監督については、どのエピソードを読んでもこんなコトしててよく勝てたなぁ、とため息が出てくる。でも、圧倒的な打力「のみに絞りそれのみを練習した」という「選択と集中」の実践者の行動は面白い。普通の人には怖すぎてそんな選択(守備は捨ててほとんど練習しない)を行動に移せない。この人の極端さはどこかジョブズに似てる気がする。



俺の大好きな西村幸雄監督をもう少しクローズアップして欲しかった。その点は残念。
やはり「決断し行動する」人の言葉というのは面白く、勉強になる。