福島第一原発事故を予見していた電力会社技術者

無視され、死蔵された「原子力防災」の知見
2007年に書かれた、原子力防災という本の著者のインタビュー。伊方原発に勤められていた人のようだ。
知識ある人は居たんだ。というのがまず最初の驚き。危機想定ができる人はいて、そういった人の能力に頼らずとも、15条通報=格納容器がヤバい、速やかに避難せよ、と、法律がそうできているらしい。
では、現実はどうだったかというと、今、いろいろな立場から検証がされているが、40年も経った原子炉は廃炉前提で行動すべしという、ことを決めておいた方がよかったのでは、という趣旨の指摘をしている。
彼自身の言葉を引用する。

 「負けるかもしれない、と誰も言わないのなら(電力会社も)戦争中(の軍部)と同じです。負けたとき(=最悪の原発事故が起きたとき)の選択肢を用意しておくのが、私たち学者や技術者の仕事ではないですか」

これは、まさしく、悲観的に備えて楽観的に対処せよ、という危機管理の話で、いま、この正論こそが事故調査で求められていることに、改めて気づかされた。