会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから [単行本]

いろいろと考えさせられる本。
働くことの意味や、電機産業のこれからについても考えたし、会社の統治のありかたについても考えさせられた。株主のための会社なのか、創業家をどこまで守れば良いのか。ある特定の分野でトップを走っていても、勝ち組と呼ばれていても、会社は消える可能性がある、「海賊とよばれた男」で見られた金融機関との「信用関係」などなく、あっけなく、金融機関から送られた経営陣によって、無惨に解体されていく姿を、恐ろしく冷静に記録として残されている。本書の中では、ゴールドマンサックスから送り込まれた経営陣の意向が大きく反映されたかのように書かれているが、そのゴールドマンサックスだって、この本で書かれた直後に(2008年)リーマンショックで死にかけており、企業が生き残ることはキレイごとだけでは難しい、と改めて思わされた。
ちなみに本書でも西川善文が出てきて「井植家(創業家)を守る」と豪語する。力及ばず、という感は否めないが、こういう銀行家が活躍できる時代だと、物語は「海賊とよばれた男」になり、活躍できない時代では「会社が消えた日」に物語は切り替わる。ということだろうか。