ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録

ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録
三洋電機「会社が消えた日」の重要人物であり、海賊とよばれた男の書評では「歴史経済小説の最高傑作!」と評したとされる、西川善文氏、その人の本である。
とにかく、面白いと思ったのは、イトマン事件を彼の目線から説明しているところである、平成経済事件の怪物たち (文春新書)森功にて、磯田一郎のインタビューが読めるが、これ以外にも反転―闇社会の守護神と呼ばれてなど、かなり当事者に迫ったイトマン事件を扱った記録はあるものの、住友銀行の中の人が語ったのは初めてではないだろうか、こういう、「住銀の恥だと思う」と思うことを文書に残してしまうあたり、この人の人柄が分かるように思う。
郵政に振り回された部分も、特定郵便局世襲の話題や、複数存在する組合の統合の話題や政治家の横槍の話など、いやぁ、正直に書くもんだねと、余計なお世話だと思うが大丈夫かと、思うほどである。
それだからこそ、本書は面白い、ここに学ぶ材料は多い。
三洋電機については、「Sと言う電機」でちゃんと触れられているし(ダメなところを指摘されている)、こういう考え方の人が「海賊とよばれた男」を評価するのもよく伝わる。
銀行が何を見て、融資を判断しているのか、会社の何を見ているのか、会社は銀行からどう見られているのか、本当に勉強になった。
働くこととは、経営とは、など、考えさせられることが多かった。
これを文庫本で読める、なんてラッキーなんだろう。