UDONをみてきた。

丸亀市出身の本広カントクによる限りなく丸亀ラブな気持ちが暴走している映画。
丸亀出身のe_c_e_tには近所の映像が散りばめられていてとても嬉しい。
子供の頃よく親に連れられて通ってたうどん屋が映画館で拝めるなんて感涙モンだ。
そういう内輪ネタ的な部分が目に付くため、評価はイマイチなのだろうな。


しかし、ブームのその後を描いている部分は評価に値する(と思う)
いつの間にやら聖地に祭り上げられ、県外ナンバーの車ばかりが駐車場に溢れ、
気軽に入れなくなったうどん屋が多数あり、たまに帰省する元香川県民としては、
少し苦々しくも思う部分もあったのである。
とはいえ、社牛(この言い方が一番しっくり来る)の文章を県外に広めたのは
こういう地元から出て行った人間に起因するところも無くは無いので、
苦々しくなどと軽々しく口に出してはいけないのかもしれない。
それに、地元の人にしてみれば、迷惑さ加減は少しどころではないのだろうし。
そういう、知名度が上がったので声には出せないけれど実は嫌な部分、というのを
描ききったのは見事だと思う。松本明子の演技もいい味が出ていたように思う。


e_c_e_tは、就職して横浜で暮らすようになってしばらくは、あまり、うどんを食わない時期があった。
横浜駅前で食った「カツオだしの讃岐うどん」に衝撃を受けたというのもあるし、
向こうのメインストリームはイリコだしなのだよ。高松付近にはカツオもあるにはあるけど
なんとなく、郷土を思い出すのがイヤだった、というのが理由なのだが
この映画を見て少し自分の中の気持ちの整理がついたような気がする。
そうか、「挨拶のうどん」ね。確かに、そういう気持ちはあるのかも。
うまいとか、まずいとか、コシがあるなしとか、そういう味覚以外の要素として、
うどんを食うという行為には特別な思いがあるのかもしれない。
なるほど、ソウルフードとは巧く言った表現だな。と、この映画を見て思った。


でもね。ストーリーはつまらないからストーリーに期待して見に行かないように。
あれは、ああいう四国のゆるーい空気を楽しみたい人のための映画なのだから。