物理のとある先生との思いで

とある飲み会で、某教授と飲んでいて(この教授とはこの飲み会が初対面で、まぁそれ以後も会ってはいないんだが)
教授:「おまえら、次のノーベル賞は誰が取ると思う」
周囲が静まり返る中(嘘、俺は酒が入っててうるさかった)
教授:「おれは、小林・益川の二人に取ってもらいたい、いや、早くあの二人にあげてくれ。早く。彼らが生きてるうちに」
と、言い出した。
俺:「南部さんよりも小林・益川の二人の方がノーベル賞に近いんですかね?」
と俺が返すと、その教授が言うには
教授:「南部さんも十分にスゴい、そうだな、十分に可能性はある、が、それでも俺は小林・益川にノーベル賞を出してほしい、ここ何年かで出さないと受賞のチャンスを逃してしまう」
とか、俺もこの教授も焼酎のロック片手にグイグイ飲みながら、話してたので最後の方の記憶は無い。が、同時に受賞とかありえねぇよな。とか言ったような気がする。


で、受賞した。スゴいというよりは、南部さんは十何年も前から受賞のチャンスは充分にあったはずで、長年ノーベル賞から無視され続けてきた人だ。シカゴ大学の名誉教授になったとき、もうチャンスは無いんじゃないか、と感じた人も居たはずだ。
それで、次の世代の小林・益川の両名に期待が集まっていた(理論が実証されたというのもある)彼らは南部さんと20歳近く離れている。
益川さんは受賞に際し、「南部さんが受賞できて本当に良かった」と語ったという。それは、物理に触れたほとんどの日本人がそう思ったんじゃないだろうか。
なぜ、今なのかと思う、現役のときにあげれば良かったのに。何より南部さん本人が「なぜ今なのかわからない」と言ったらしいとか。選考委員に日本人びいきが居たとは思えない(居たらもっと早くに受賞してたはずだ)でも、とにかく受賞できてよかったと思う。


そして、今はもうれつにあの会話をした教授ともう一度飲みたい。