日本野球25人 私のベストゲーム

帰省の帰り道、岡山駅近くの地下で購入。面白くて、横浜までの新幹線で全部読んでしまった。
実は結構前(単行本が文藝春秋から出版されたのは2006年)の本。
しかし、古さなど気にならない、あまりにもシブい。シブ過ぎるチョイスにナンバー編集部に感謝せねばなるまい。

長嶋茂雄、王貞治、野村克也、星野仙一、イチロー、清原和博、掛布雅之、原辰徳、ランディ・バース、ラルフ・ブライアント、秋山幸二、落合博満、新庄剛志、古田敦也、松井秀喜、野茂英雄、山田久志、江川卓、斎藤雅樹、阿波野秀幸、桑田真澄、佐々木主浩、工藤公康、松坂大輔、江夏豊。偉大なる野球人たちが熱く語るベストゲーム。

長嶋茂雄は10.8を語り、ラルフ・ブライアントは10.19で泣き、翌年のダブルヘッダーを語る。もうこれだけで胸がつまる。
野村監督は、9.2(これは石井一久ノーヒットノーランで横浜の追撃を止めた試合)を語る。
清原は宇部商との試合を語り、桑田は池田との試合を語る。イチローも高校時代の試合を語る。松坂も高校時代を語っている。
感涙モノだ。偉大なプロの選手だからといって、ベストゲームがプロの試合である必要はない。改めて高校野球の素晴らしさを噛み締めるようにして読み込んだ。
落合はオールスターで西本監督からパ・リーグの4番に指名された試合を上げている。斎藤は平成の大エースになる前夜の試合を語っている。恐らくどちらも多くの人の記憶からは忘れられているだろうが、本人たちにしてみればその後の大記録を作る礎となったターニングポイントと認識している。こういう本人だけにしかわかりえない本人の口で語られるエピソードにこそドラマがある。
そして、江夏が広島時代(なんと2軍の話題)を語り、最後に「西本幸雄と江夏の21球」というスペシャルなエピソードが最後にやってくる。佐々木、梨田、仰木、石渡、その後指導者として活躍する錚々たる面々を率いて日本シリーズを戦った名将のエピソードで読んで涙が出そうになった。


西本監督が表に出なくなって久しい。プロ野球ニュースで解説していた頃が懐かしい。日本球界屈指の名将の育成のエピソードは多くの人に読まれて欲しいと思った。