NHKスペシャル NHKスペシャル 「原発メルトダウン」 〜福島第一原発あのとき何が〜

関係者には、言えることと言えないことがあるのだろうが、よくぞ放送したという感じの内容。
東電だけではなく、GEや東芝、日立の声も出して欲しかったが。特にGE。
大きく教訓は2点

  • 非常用復水器の操作を知らなかった

事故が起こると、一度停止するというシロモノだったらしい。その後、人が手動で起動するという仕様だった模様。なるほど、、訓練しておかないと、動かさないわな。で、問題はそういう最後の砦のような装置のため、誰も使ったことがないこと。問題はいくつかあるが、「そもそも訓練していたか?」「訓練時に電源停止後にこれの起動方法を確認していたか?」(番組では奇跡的にその時電気がついて動作スイッチが押せたらしいとある。へぇ)
それでも動かしたのは見事。ただ、1号機はまだ大丈夫だと思ってその後止めてしまったのは関係者のみならず、日本全体で、痛恨の極みか。
我々(発電業界以外の自分自身への教訓)への教訓として「大事な機能は、触れる環境を用意しておくこと」だろう。緊急時にマニュアルを引くようではまず役に立たない。普段から訓練してあるのが望ましい。訓練できるような環境は用意してしかるべきだった。が、たいてい、利益を求められる一般企業では、こういう保険に予算は回しづらいよね。

  • 水位計が当てにならなかった

中に水を入れるタイプの水位計だったらしく、水が蒸発すると正常な値を示さなくなるという。さらに困るのはこの状態になると「水があるように見えてしまう」という。
水があるように見えるので、非常用復水器も「一時的に止めても大丈夫だろう」に繋がったとのこと(ただ、動かし続けてもメルトダウンを7時間遅らせる程度しか期待出来なかったそうで、あまりこの判断を責めてもしかたない、結果論で当事者を避難してはいけない)
我々にとって、大事なのは、この手の計器は「非常時には壊れると思え」「動作原理は理解してエラーの出方を把握しておけ」「壊れた時は悲観的な値を示すように作れ」ということだろう。要は作りがフェイルセーフではなかった。といってもいいと思う。


原発事故は、10年〜30年ぐらいのスパンで起こると、推定すると、今回の経験者が次の事故の時にノウハウ発揮、というのは望めないことがわかる。動いている原発は、まだ日本中にあるのだから、何としてでも、語り部が生きている今のうちに横展開をして欲しい。
なにより、原発事故は、現場で対処する人間が長生きできる確率が落ちる、本当に命を削って事故の対応をされている方々には頭が下がる。技術の伝承が極めて難しい事故であることを考えるとこの放送はものすごく意味を持つ。