政治の修羅場 (文春新書) [新書]

著者は鈴木宗男
師である中川一郎との出会いから始まり、田中角栄金丸信竹下登小沢一郎、小渕、森などの政治家の評伝を描くスタイル。最後に、小泉と田中眞紀子について、一章別にしてある。理由は読めばわかる。


鈴木宗男という政治家が、誰から学び、どういう勉強をしてきたか。本書を読むとそれがよくわかる。外務省と癒着していた、と、かつては報道されたが、彼以外のどの議員も外務省へは無関心だったようだ。外務省への面倒見の良さが、裏目に出たらしく、彼自身も「外務省に上手く使われた」との思いを吐露している。
北方領土の話については、以下の著作が、あったなと、読み返してみた。
北方領土交渉秘録―失われた五度の機会(東郷和彦)
国家の罠(佐藤優)
これらが、外務官僚の目線で描かれているのに対し、本書では政治家よりの目線で描かれている点が新しい。特に、北方領土交渉秘録は今読み返すと、本当に重いし、熱い。この本が最も網羅的に歴史的背景から北方領土交渉を押さえている。が、この本でいくつか腑に落ちなかった部分が本書で納得できた。


90年代末期、本気で北方領土を取り返すべく、2000年までに是が非でも日ロ平和条約締結を目指して、官僚と政治家が心を合わせて行動をしていた時代が会った。当時、知る由はなかったが、今は当事者たちの著作が読める。官僚は官僚の立場で、政治家は政治家の立場で、政府を動かし、ロシアを本気にさせ、交渉のテーブルに着かせたことがよくわかる、そして、残念なことに日本側の事情により、その後ロシアは日本を相手しなくなってしまった。
当事者全員が、川奈について詳細を避けている部分があり、ここにはまだチャンスがあることを伺わせる。また、全員が、ロシアとの関係作り、人脈作り、信頼性の確保を重視している点も興味深い。プーチンが在任の間にどこまで詰めることができるだろうか。歴史は未だ動いている。



7/3 追記
また、メドベージェフが国後島に上陸したらしい。プーチンが何を言おうが「絶対にやらねーぞ」という姿勢を貫く。こいつがいる限り、絶対に交渉の余地はないんだろうなあ。