かくかくしかじか 1巻(東村アキコ)

30を過ぎて、自分の道を進むようになって、初めてわかる師匠のスゴさ、優しさというのがある。
問題は、それを伝えることが一般には難しいということか、同じ道を進んだものは跡を継ぐという形を取ることができるが、違う道を選び、師匠の教えに感謝したい場合はどうしたらいいのだろう。
本書は東村アキコのそういった思いへの回答となっている。高校時代の師匠へのリスペクトにあふれる回顧録で、高校3年生から受験までの話が展開される。
ウマいなーと思うのは、竹刀を持った師匠を理不尽に、ぶっきらぼうに、暴力的に書いているところだ。この決して優しさに紐づかないツールを使って師匠の人の良さ、優しさを表現する。書かれた方は嬉しくてたまらないのではないだろうか?(そうでもないのかな?)
「ひまわり」でも思ったが、この人は理不尽な、不器用な男を書くのが本当に上手い。観察力が人よりも優れているのか、それとも、これが師匠に教わった技術なのか。


個人的には、先生が受験前のアキコに「東京芸大 受けないのか?」と問いかけるシーンにぐっと来た。先生としては受けて欲しかったんだろうなぁと、口数が少ないけれども、ここで初めて師匠の欲(?)が見えたような気がした。
第一話が試し読みできるそうだ。



2012/12/30 追記
ふと、ひまわり2巻を読み返していたら、物凄いエピソードが書かれていた。
ハイテンションな作風の中に先にネタバレが仕込まれていて、笑うネタかと思っていたが、、


そりゃぁ、、書きたいだろうなぁ。書かずにこのまま、というわけにはいかんのだろうなぁ