そして父になる

みました。赤ちゃんの取り違えをファクターにそこに錯綜する人間模様を描く群像劇。
福山雅治が感情を押し殺した演技をしていて、いつ感情を出すのか、と思いながら見ていく。と、心をえぐられるような痛みを何度か見せられるのだが、それでも福山は表情を変えない。大丈夫か、それでいいのか?
そう思いながら見続けて、ラストへ至る。
(あまりネタバレ的な要素は書きたくないので控えます)
気がつけば、河原で母親2人(尾野真知子と、真木よう子)が抱き合うシーンで涙が出た。
いや、そこだけではない、泣く要素は至る所にあった。感情移入はどこにしてもいい。
人生経験の数だけ、泣ける場所が増える。母性も父性も刺激しまくられる。いや、俺の言葉では表現できない心の奥底をえぐるような感情を刺激する何かがこの映画にはある。そういう映画で、是枝監督は本当にスゴい映画を作ったのだと感じた。
さすがは、超ドSの西川美和(監修で参加していた)の師匠。悔しいほどに痛めつけられた。


福山に子供が居れば、演技は違った物になっていた可能性はある。リリーフランキーも然り。
いや、しかし、本作はあの硬い福山の感情が爆発する瞬間を描くことに意味があると思う訳で(と、書けるのはここまで)
これまで見た中で、鉄仮面が最後に表情を出すというパターン(この展開自体はパターン化されていると言っても良い)で一番気に入っていたのは「県庁の星」で仏頂面の柴咲コウが最後の最後のシーンで見せた笑顔だったが、本作の福山はこれを軽く抜いていった。(俺の中ではね)
いろんな見方のできる映画だと思う。