時間が経ってようやく分かったこと

WBC見てふと、思い出した。
自分が通っていた高校の野球部はその地方ではそれなりに有名で(と言っても地方で有名というレベル)野球が盛んだった。
毎年、夏休み前になると、地方大会の予選なんかに通わされる。応援だ。俺は野球観戦が好きなので苦ではなかったが野球よりもサッカーの方が好き、とか言う奴らには苦痛だったらしい。
まぁ、それは置いといて、地方大会の1回戦だか、2回戦で印象に残ってる試合(というか、印象に残ってるのは後日談だが)がある。
序盤、ピッチャーの立ち上がりが不安定で、攻め込まれて3回までに3点ぐらい取られて負けてる試合。
確かスコアはこういう感じだったと思う(うろ覚えです)

   
こっち
相手校



逆転して、8回コールドとか、そう言う感じ。まぁ地方大会の下の方の試合では珍しくもないような展開だと思う。こっちは能天気に「ウォー逆転したー」とか無邪気に喜んで、サッカーが好きな奴らは「また来なきゃいけねーのかー」と嘆いたり、まぁそう言う感じ。
試合が終わって、野球部の老監督と仲が良かったらしい担任から伝わってきて、老監督曰く
「今日○○(←ピッチャー)は、3回までしか勉強にならんかったな」
と、言ったとのこと。どうやら、4回以降は無失点に押さえててもどうやらあまり満足していなかったらしい。味方が逆転してくれてからの投球内容には評価対象外だったらしい。
当時はバカだから意味がさっぱり分からなかったが、さすがに今となってはわかる。
最初の3回は、苦しい環境下で自分の能力を信じて投げなければならない。そこで諦めてしまうと、自分の目標だけではなく、チームメイト全員の夢もまとめて終わる。そういう異常な責任感を背負った状態で負けている。味方は点を取ってくれない。明らかに逆境だ。
このストレスがかかっている状態で能力を発揮するのは難しい。「いつも通りやれ」と言われても平常心を保つのも困難な状態だろう。


人は窮地に追い込まれると発揮できるパフォーマンスが下がる。普段強がっていても窮地に追い込まれた途端に黙ってしまったり、何も行動できなくなったりする人、というのは実は多い。普段いい人ほどトラブルでは役に立たないとか、まぁ、どこにでもあるような話だと思う。
原因はいろいろ考えられるが、若いうちにそう言う経験をしたことがある人と無い人では、差があるように思う。
若いうちからそう言う経験を積んでて(それこそ、3回までのピッチャーのように)窮地に追い込まれても自分を平常心に保つ術を心得ている人間は強い。これはある種のトレーニングで、そう言うときの自分の保ち方は知らないとどうしようもない。(というか超えた修羅場の数が自信となって身に付くと言った方が適切か)これらの能力、経験は、例えば
明日までになんとかこの資料を仕上げないといかん!
とか、
明日の朝○時までにこのシステムを動かさないといかん!
とか、
そう言うときに差が出てくる。それを実力と呼んでよいものか悩ましいが、残る結果には格段の差がついてくる。
あいつらは、若いうちにそう言う経験をしてたのか。と、30前後になって、17、8の若造ピッチャーに追いついた気がする。
あぁ、こうやって、オッサンになると若い頃の自分を後悔するのかな。