ムバラクとエジプト

今週のnewsweekの記事によれば、ムバラクという独裁政治家の人物像をうかがい知ることができた。

「汚職はあったが私の知る限り大統領夫妻が私腹を肥やしていた事実はない。ムバラク一家は豪奢な暮らしをしていたわけではない」とカイロ駐在のある欧米の外交官は言う。
問題は金銭欲よりもうぬぼれであった。国民を散々苦しめておきながら、ムバラクが行ったことは全て国のためだったと、この一家は信じきっていた。

とある、エジプトでは事実上、大統領選挙が機能していなかったこともあり、この政治家に対しては(財産を国外に持ち出して逃亡した)チュニジアのベンアリ一族とは見方を変えた方がよさそうだ。
良い方向に考えれば、9月には辞任する、というムバラクの発表も後継者を準備した上でのソフトランディングを狙ったと、読めなくもない。
ただ、国民はそれでもデモを続けた。即時での辞任という結果になった。
さて、世界中の戦場カメラマンを集めたエジプトで、エジプト国民は、何を望んだのだろう。30年も国家元首が変わらないと閉塞感も漂うだろう。今回は「デモ」という形で大統領を辞めさせることができたが、まずは大統領選のための憲法改正
が急務だろう。
日本のように、支持率が就任後下がり続け、毎年首相が変わると困るんだが、憲法改正もないし。
国家を壊すのは難しい、でも創造するのはもっと難しい。サンプルなしで成功させるのはさらに難しい。
他の国の例を見て、参考にできる例など数十年に一度しかやってこない。
戦場カメラマンにはこういった「他の国での民主主義の現実とその結果」の報道を期待したい。