世界の「独裁国家」がよくわかる本

奥付によると2010年2月の本、なので、チュニジアリビアの話はその時点の話。
だが、この2国の話が大変興味深い。本書によると
リビアは、カダフィの「緑の書」を元にイスラム教と社会主義を混ぜあわせた「独自の国家運営」を行っており憲法がも議会も存在しないという(建前は直接民主主義となっている)、近年はオイルマネーで豊かになった反面、若者が単純労働を嫌い、学校を出ても就職せずにブラブラするニート問題が深刻化しているという。
チュニジアは、ベンアリが大統領になって(約30年前)から女性の参政権を認め、イスラム法による一夫多妻の禁止、さらにイスラムでは禁止されるアルコール類も売られており、義務教育が無償化されているという、近代国家だ。
どちらも近代化された「非イスラム国家」だ、イスラム文化から逸脱しているがゆえに女性への権利を保証でき、教育も充実していた(識字率が高い)という側面もつ。原理主義勢力からの抵抗があるのもうなづける。
彼ら(カダフィ、ベンアリ)が追われるようになり、その後、イスラム原理主義国家が誕生するのだろうか。
イラクの場合は、独裁者がいなくなった後、民族間、宗教での対立があり「まだ独裁者が統治してた方がまとまりがあった」とも取れるような状態が続いている。
今のチュニジアリビアの情勢を見るに当たり、大変参考になった。とても良い本。