原発アウトロー 青春白書 (ナックルズ選書)

著者は「トラブルなう」の人。ずっと前から買いたかったのだが、たまたま、松山のジュンク堂に立ち寄ったら見つけて買うことができた。
読んでみて、大変な労作だと感じた。
事故の前、彼の地では、なんとなく、とか、先輩に誘われたからという理由で福島第一原発で働く若者が多くいたらしい。つまりは、地元の雇用創世が上手く働いていたということなのだが、本書はそういった「若くして原発に入っていった若者」にフォーカスする。
実際に現場の労働者相手にインタビューをする、という切り口は珍しい、そして、現場労働者の視点で地震津波、に対し何がヤバいとどのタイミングで思ったか、が率直に書かれている。マスコミ報道よりも早いタイミングで爆発の危険性を認識していた点が興味深い。現場の人は知ってた訳だ。まぁ、当然なんだろうけれど、現場で働いていた人の方が汚染に対して敏感な点も興味を引く。「アウトロー」と銘打っているものの、これは、原発ジプシーに並ぶ、原発労働者(しかも事故後の福島第一の労働者)の貴重な記録文書である。東電社員も保安員もいっさい出てこない。そこで働いたことのある者にしか語れない言葉が本書にはある。現場の皮膚感とでも言うべきか。