522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史(村瀬秀信 著)

タイトルを見て分かるように、大洋ホエールズと、横浜ベイスターズの本。
最初、買うつもりはなかった。
しかし、佐伯のこの記事を書いた方が著者と知り、買わずにスルーする事ができなくなってしまった。
今にして思うと、98年とは、本当に何だったのだろう。プロ野球歴史上の特異点としか、言いようがない1年だったのだと思う。なぜ、あのベイスターズが日本一になれたのだろう。なぜ、松坂は「ベイスターズ以外ならプロ入りしない」なんて言ったのだろう。それほどまでに魅力的なチームだったか?
98年当時、パロ野球ニュースや、ササキ様に願いを、読んでいた自分を思い返すと、納得できる。(そもそも、俺はベイスターズファンでもないのに、何で読んでいたのだろう、それほどまでに魅力的なチームだったのだろう)
同時に、98年横浜戦士の鉄壁の内野と破壊力抜群の打線を思い出すと、なぜあの最強チームが見る影もなくなったのだろうと、涙を禁じ得ない。
ただ、時代が変わり、親会社も二つ変わり、監督も沢山変わった今だからこそ、時代を総括する本書の意味があるように感じた。いや、果たしてDeNAで変われるかどうかはまだ分からないのだが。
この本には、ベイスターズが、98年の後辿った道を解説し、そして、98年へ至る道についても解説がある。
何より、球団の組織のあり方、人事の失敗とは何かを、ベイスターズを通じて知る事ができる。ベイスターズへの深い愛まで学ぶ事ができる。応援するとは、成長する人を後押しすることだ。
不覚にも所々涙を禁じ得ない文章があり、心の奥を鷲掴みにされた。
面白い。悔しいほどに。