誰も書けなかった日本のタブー2 (別冊宝島) (別冊宝島 1833 ノンフィクション)

夏原武氏の文章が読みたくて、買ったが、実際にはそれ以外の所が面白かった。(本書は複数のジャーナリストの署名付きの記事集という形)彼(夏原氏)の文章も充分楽しめたが。特に面白かった話をいかに列挙する

  • 巻頭特別座談会

田中森一との共著というか対談集「バブル」を読んで、夏原武氏を知ったので(その後クロサギを読んだ)夏原氏の参加する座談会のある本を見つけると買ってしまいます。今回も楽しんで読めました。

  • 阪神の金本のスキャンダルの話

簡単に要約すると、金本が騙されました、という話なのだけれども、これが面白い。読ませる文章になっている。特に笑ったのが「細かい金の計算が出来る人やないのに・・・」というアオリ。そこまで彼がバカということはないと思うが、絶えず引退後の生活のことを考えないといけない晩年のプロ野球選手ならでは、という彼の立場をピンポイントで狙われたような話にも見える。騙された金本は気の毒だとは思うが、まぁ、何が起こっていたかというのは、わかった。真偽は定かではないにしても、納得が行くストーリーでした。

  • 「核の秘密クラブ」

ロスチャイルド家がどうのこうのとかあって最初、陰謀論かと辟易としたが、中身を読むと、日本にウランを買わせるように手配して、ウランの価格を釣り上げたろくでもない奴らと、買ってしまった日本政府の話。と、ウェスティングハウス原子力部門の価格を釣り上げたろくでもない奴らと、勝ってしまった東芝の話。そして、カザフスタンからウランを買った話。
なんとも、暗澹たる気分になる話ではあるが、単なる業界裏話にとどまらない国策の痛い点を付いている点は見事だ。
実質、ウランの買い付けは全て国策で、(田中角栄から、小泉純一郎まで安定政権時にのみ、購入しているのが皮肉というか、気の毒と言うか、中曽根康弘原子力に予算を付けたとか、見事なまでに政治主導な原子力の方針が明確だ)もう、引き返したくても、ウランは国内にたっぷりあるし、買う予定の鉱山まである。売るほどある。原発輸出国になりたかった時代のことを懐かしんでも仕方がないが、まだ売る気なのか、政治主導で方針は出して欲しいと思う。カザフスタンのような独裁国家と交渉するのは簡単ではないと思うが、中断できないか、真剣に考えて欲しいと思った。