震災ビジネスの闇 (宝島SUGOI文庫) [文庫]

再び、夏原武氏の著作、これは震災後の被災地で発生した詐欺行為について、入念に書かれてある。非日常が発生し、それまで信じていた生活基盤が揺らいでしまうと、いかに人の判断力が低下し、良からぬ人間に金を支払ってしまうのか、その1点に集中して書いてある。大変な労作。
本書は「廃材ビジネスの闇」「建築ビジネスの闇」「転居ビジネスの闇」「斡旋ビジネスの闇」「健康ビジネスの闇」と5章に分けて入念に騙す人達が、如何に被災者を食い物にしていったかという話を解説していく。読むと涙が出そうな話も出てくる。よく読むと、マルチだとか、転売だとか、既存の詐欺のフォーマットに「放射能が」とか「被災地の行政が」とか、震災ならではのキーワードが載っているケースが多く見られることがわかる。そして、震災直後に動き始めた勢力が多いことから、常日頃から考えている準備周到な奴らが騙しに来ることがよくわかる。手口を事前に知るという意味でも本書を読んだ価値はあったように思う。