最近読んだ本

シブすぎ技術に男泣き!

面白かった。伝承が難しい、勘と経験と度胸がここに全て詰まっている。マニュアルなんかには書けない、本屋にもgoogleでも見つけられない「渋さ」が、失われた10年についでに忘れてしまった昭和なニオイが、この本にはあった。今だから響くのかも。このネタは

工場虫

上と同じ作者(見ル野栄司)の本、さすがに同じ職人臭漂うシブい出来。とはいえ、少しストーリーを作りすぎたか、ストーリーで読ませる展開ではこちらが上だが、エンジニア魂を読みたいなら「シブすぎ」に軍配が上がるか。

なわばりちゃんお攻めなさい!

出版社は違うが、また同じ作者(見ル野栄司)の本。
そういえば大学の頃、中世の土城、平城マニアの先生がいたのを思い出した。江戸時代以前の「日本の中世の戦う要塞としての城」を語られて大変困った記憶がある。で、この本を見るとあの先生が熱くなってた理由がわかったような気がする。なるほどね。お城を観光目的で見に行くことはあっても、「この城をどうやって落とそうか」「この石垣を登る勇気はないですよねー実践で」なんて視点で石垣を見たことなんてない。そういう視点で城を要塞として読み解く本。上の2冊よりも面白かったです。

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

佐藤優の本は色々と読んできたが、実は積ん読のままだった一番大事なデビュー作(但し文庫本)を今更ながらに読んだ。
大変読み応えがあった。もう一度獄中記読んでみようかな。反転でも思ったが、実名がジャンジャン出てくる本がデビュー作で書けて、かつ売れるところに言論の自由を感じる。作家に転ばなければこういった大物の仕事術/交渉術は見られなかったというところがカユイというか、官僚批判やら天下りがどうのこうの言ってる相手の中にはこういう大物が眠っていることはよくわかった。

西原理恵子月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気

最近、次々とドラマやらアニメやらヒットを飛ばす西原のもうひとつの顔、アルコール依存症関係の仕事。
家族としてアルコール依存症と向き合った側(西原)と、実際に家族に迷惑をかけた患者側(月乃)の啓蒙書。
アルコール依存症の予防策」を聞かれた西原氏の
「お酒の作用について知識を広めることです。お酒は嗜好品であるとともに薬物でもあることを、どこかで知っておく機会が必要だと思います。それからアルコール依存症がどういう病気かということも。」
あとがきで月乃氏の
アルコール依存症は誰でもなる可能性がある、病気なので治療のプログラムが存在する」
という言葉は深い。本書を読んで酒との接し方を少し考えなおすことにした、ものすごく身につまされる思いもしたし。
同じようにアルコール依存症を扱った失踪日記ではこの読後感は味わえない。蒙を啓かれた感があります。

SQL ゼロからはじめるデータベース操作

達人に学ぶ SQL徹底指南書 、や、SQLパズルの訳なんかで有名なミックさんの入門書。oracleのブロンズを受ける直前に買ってみた。今更入門書ねぇ、と思いながら読み進めたが、改めてRDBMSって覚えることが多い世界だなと、妙に感心した。単純にsqlの記法を説明してるわけではなく、トランザクションやACID属性についても丁寧な解説がある。白眉なのは、ウィンドウ関数を扱っていること、これを扱っている入門書は他では見たことがないので流石は達人(否定したこともないんだそうだ(笑))
ついでにこちらも見ておきたい。SQLアタマアカデミー第一回(Web+DBpressの内容が読める)

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

ようやく読了。
失敗に対して前向きに「失敗のレジュメ」を書くこと、そして「経験することの重要性」を説く。
扱っている内容が抽象的なので、ここから実践にフィードバックさせる方法は自分で見つけないといけない、そういう点も含めて教育的な本。説明はこれぐらいにとどめて、あとは「手前で考えな、自分の人生だろ?」という感じ、自分は良書と思うが、こういう本が売れているのは不思議な感じはする。タイトルの勝利か?